淡々と語ればいいのだ、別に何も特別な事をしようといなくていい。特別な事でごまかすのをやめたらいいまでの話なのだから。

 雨の滴り落ちるような昼下がりに緑光が風に揺れる。木の枝にすがりつくリスが綺麗な目をして外の世界を見ている。綺麗な瞳をしている。茶色の毛並みに真っ黒い瞳を宿したリスは冬のためにせっせとどんぐりを集めに木を登ってはおり、降りては登る。枯れ葉に埋もれたどんぐりを見つけて木に駆け上る。遠くの景色には私がいて、悲しそうにパソコンを膝の上に乗せベッドにあぐらをかき壁を背もたれに、横長の眠たげな目を液晶画面に落としている。

 付の上には散らばったペットボトルに食べかけのパン、液体の入っていないコップに電気ケトル。床の上にはお盆が置かれて掃除機の隣にはレジ袋がある。使いもしないゴム手袋をベッドに寝かせて読めもしない洋書を足下に置き私はあぐらをかく。

 私はどうしても世界から逃れてしまう。掟もないこの世界だからこそ私は息を吸える。限界を儲ける人に反発してしまう。自由を奪う他者の存在に私は嫌悪を催しながらも同情する。観念論を批判する観念論者に何を言われようとも気にしない。

 自分の気持ちを打ち明ける事なんて出来るわけがない。意識を鮮明にすれば人は必ず立ち去っていく。私の親でさえそうなのだ、まして恋人は他人であるゆえに家族でもないので立ち去っていくのだろうか。そう考えた時に私もまた死にゆく感覚に身をまかせる事になりそうである。

 着もしない洋服がハンガーにかけられて、パンツはだらりと洗濯バサミに助けられている。

 私は孤独である。死にたい。