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  吐瀉された言葉の匂いを嗅いだことがあるかい。僕は嗅いだことはない。人の吐瀉物に目さえ向けたくない閉鎖的な人間なんだ。それが僕の本性というわけではない、今はそんな気持ちでいるのだ。僕は木津つきたくないんだ。しかし、それも、例外がある。好きな人のためならば僕は傷ついて死んでもいいだろう。むしろ死ぬべきである。それこそ美しいのだから。散る桜の花びらのように。ひらひらと舞って、線路の上に舞い降りた花びらが電車に轢かれる。寂れた駅舎に澄んだ青い空。五月雨の月に、僕たちが宿した種はどこまで身を咲かせてくれるのだろう。僕が生きる道なんて僕が決めなくちゃならないらしい。そんなことってあるか?世襲議員でも世襲医者でもいい、世襲というのは自由だ。全くもって自由だ。悩むこともない。悩んでいたとしても思い上がりに過ぎない。僕のように何も持たない人間は選択がありすぎる。もう何も選択したくないんだ。もうなにも。僕はもう、誰かに誘導してほしい。それが寂れた漁村の金の入りの悪い仕事であっても構わない。そこに家庭があれば。そこにバイクがあれば。そう考える僕の思考方法を会社の面接でも検察官の尋問でも理解してくれることもないだろう。

 僕は怒っている。何に怒っているのかもわからずに怒っている。キーボードも行かれていると打ち間違えるように、イカれてもいる僕を誰が助けてくれるんだ。僕が愛することしかできないだ。僕は、一体お金が必要なんだ。お金がなくちゃ僕は本当に貧乏になってしまう。貧乏だけは耐え切れない。僕は耐え切れるが、僕の周りに貧乏させるような真似はさせたくないってわけだ。お金を獲得するために繰り広げられる愛のかたちを偽装した恋愛劇にはうんざりだ。

 僕は狂っている。学校は爆発した。世界は、しかし、依然とあり続ける。暴力が世界を牛耳り拳銃を持つようになった市民は敵の多さに気絶してノイローゼになり、最後には自分の抹殺に取り掛かるであろう。私が私の敵であるならば、世の人の数多の人を相手にすることはない。自分一人を撃ち殺せば、もう敵はいなくなったも同然なのだから。僕に生き延びる意思があると思えない。一層の事死んで仕舞えばいいのに、死んでお空に上がってもう地上のことを全て忘れて、つまらない努力も楽しい旅行も全て忘れて、僕は空に上がって真っ暗な宇宙に投げ出されて、永遠の眠りの中億光年の暗闇を彷徨うのだ。運悪く、進化した人類が僕を見つけて蘇生させたとしたら僕は嘆きも感謝もしない。ただ、お茶をすするだろう。そのうち意識もはっきりしてきて捨ててきた当時の地球を思って涙が茶碗に落ちて水面を震わせるだろう。

 僕がいつ何をしたっていうんだい。つまらないことを書くんじゃないよ。今日は休みだ。やってられないってわけじゃない。僕はこの作業に、十分やりがいを感じているんだ。連絡をよこさない親の動向を調べるだけで僕は一苦労である。バイクを買いたい。その話を親にしたい。それくらい僕は自分に素直だ。あまりにも素直だ。素直じゃない人間は、素直でいられることできない囚われの身だ。性格はひねくれている。

 では、彼女はどうだ。彼女もまた性格はひねくれていると地震は思っているのだろうが僕から言わせれば馬鹿正直だ。彼女のことなんて分析してみたところで始まらない。人の数だけその人がいる。それに疲れた人類は類型を作り出した。理解できる類型を。きっちりと型にはまった人間を創り出そうと懸命になって学校を作った。成績が良いことがいい人間である。そこに感情も犠牲もない。それすら、計算にとり繕い得するのか損するのか永遠と考えさせる。そういった教育を学校がしているとは認め難いとはいえ、そう疑義を唱えられても仕方がないと、弱論で学校を非難するのも私の好むところではないのだ。