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耳をすませば

 そして、月島は天澤と結婚したのだろうか。月島は迷うことなく迷い、走り出す。雨沢もまた同じで我が道を行く。月島は天澤を燃料に彼女のエンジンはピストン運動を始める。天澤は用意周到に月島をエスコートし自分を好きになるように仕向けることに情熱を燃やす。バイオリン作りの動機さえ月島の気を惹く材料と変化し、いずれ月島を手に入れたと判断するや否や天澤はバイオリン作りへの情熱を失う。そして、月島はそれでも天澤を好きであると確信してはじめて彼を愛する。

 月島を振り向かせることで天澤は彼女の思考を手にし、彼女もまた天澤に合わせようと努力することでふたりは互いに理解し合う。

 物語の主人公は私の意識を反映する。私の意識を映す鏡を持った登場人物が物語の進行コードを通して鏡に様々な私の顔色を映し出す。表情とは言葉であり、言葉の発話が台詞である。短い台詞に映し出された鏡の片鱗を見せる。