思考の場
今日も街は坂を登る人たちと降る人たちのせめぎ合いで賑わっている。帰ってくる旦那の飯を用意するために買い出しに出かける。ふと横を見ると、黒い影の男がいた。
「 貴方のご主人は大変に素晴らしい人です」
そういって、男は野菜の中に飛び込んでいった。人参の袋がわずかに凹んで穴が空いた。奥さんは、その人参の袋を買い物袋に入れてこそっと外へ出た。しばらく歩いていると。
「奥さん、あなたは悪い人だ」
と、あの黒い影の男の声がした。公園に着いた奥さんは、ベンチに座り人参袋を破りじっと眺めた。
冬の風に枯れ木が人間の骨のように伸びている。水をいくらやっても枝に葉っぱは生えない。
奥に、トイレがあるのが見えた。公園の公衆と異例の周りには誰もいない。住宅の真ん中にある公園だが人はおらず、少し古そうな公園のトイレの男子トイレに入り鍵を閉めた。便座は冷たかったが、興奮から奥さんは息を弾ませ今にも堪えきれそうもない声が反響しそうであった。奥さんは便座に座り大きく太ももを広げて茂った股を突き出し人参をそろりと入れた。その瞬間、影の男がやってきて、トイレの上から奥さんを見ていた。サングラスをしていて顔は見えない。シルクハットをしている、スーツを着た男性だ。顔色は黄色人種。
「奥さん、私はここですよ」
そう言って男は消えた。