アウトプット

相手の視点に立ってみよう

夢は叶えられない人のためにある

 夢・・・。それを欲望といい、また、目標と言い換えられもする万能な言葉夢。夢を語ればうざがられるか、聞いてくれる人のいい奴のプライドを撫で撫でしてくれる、夢。夜見る夢の方は暗く、起きて語る夢は明るい、夢。夢は、人間の無意識の表れでもあり、意識の表れでもある。金が欲しいに奴の夢は、貧乏している夢で満たされる。夢。心を裸にして周囲に弱さをひけらかし同情を買おうって魂胆も見え隠れする夢語り。飲み屋で夢を語りだす奴の話を黙って励ますも、全然相手の夢に関心のない奴。夢。しゃべることがないので、妄想という都合のいい世界を夢と言い換えて語り始めかなえられそうもない夢、叶えたいのかわからないような夢を聞かされる奴。夢を歌う歌だけはいい。そこに返信はない。歌われる夢にある哀切が、眼前の日常を克明に描き出す。夢の通りにはいかない、時間の中で、私は寝床について夢を見て頭の中を整理する。自分が考えている通りでない世界の訪れの足音に絶望した三島由紀夫の最後が脳裏にチラチラする。

 時代が混乱している時。混乱しているのは人間の魂なのだ。

 世の中に優しさの片鱗が見えなくなってしまったのも、私の心のせいか。親切を忘れ、蔑みと絶望を友人に相手を威嚇する人間になってしまったのか。それでもなお、夢を語る人々を汚辱から守る手立てに関して私に余念はなさそうである。