アウトプット

相手の視点に立ってみよう

会話というゲーム〜共感という嘘〜

 文字の世界に身を捧げるのであるならば、私は乱読をたどって決して編集者に読書の仕方なんて本を書いてくれと頼まれるような人間になっちゃいけない。バカな人間は知識人をグッチだとか、ヴィトンのブランドに惹かれる水商売人間のようにありがたがっているが、そんなバカにさっさと気づいて己の無知さ加減を認める方がずっと楽ではないか。私は本を読んでもちっとも頭に入らないし固有名詞はすぐに忘れる。だから、本の内容を問われても答えられないのだ。しかし、それでいいと思うのだ。忘れてはいるが読後感は覚えている。私はその感覚が好きで読書をしている。別段、文体だとか思想だとかに特別強烈な印象を得ることはない。読後感だけが私にとって本を読む醍醐味なのである。だから、丸谷才一の「思考のレッスン」は字面はいいが、内容が空疎である。私が内容空疎な人間なのでそれがわかる。