アウトプット

相手の視点に立ってみよう

 カモメが私の足元で眠っていた。私がしゃがんでカモメの羽毛に触り撫でているとカモメは目を覚まして勢いよく紺碧の空に羽ばたいていった。遠くの海に向かって一直線に飛んでいくカモメはだんだん小さくなりついには私の視界から消失した。

 その日も家の周りを散歩して子供たちと挨拶を交わし家に帰って海を眺めていた。5月の海は太陽に輝き涼しい風が体の熱を冷やした。

 呼び鈴がなり玄関に降りると自転車に乗った郵便職員の女が私に手紙を手渡す。彼女の目はどこか恥ずかしそうである。隠している情事でもあるのだろうと感じて私は表情を硬くしてまた2階に登り海を眺めた。

 小説家になるために、いろいろなものを見てきたがストーリーがちっとも浮かばな良いので何もかけないでいるところ、海を見ていると全ての物語を書き尽くしたような気もしていた。

 果たして修辞学は、私たちに決まりきった感情教育を植え付けるための学問であろうか。修辞学の内容を応用してみたところで真理は遠ざけられ私たちは偽物をつかまされる。