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なんとも僕は呆けてしまう

  世界は僕をおいて回り出した。僕は世界から弾けて飛ばされて避けられてもいるのだろう。僕は構わないと強がることさえする気もなしにただ死ぬことを夢みている。美しいものを美しくみる心をわたしは抱えて死ぬのだ。どんな美辞麗句もドラマに感化された人間も、滑稽な死などひとつもないという信念を、私はしかし持てないでもいるのだ。どうしようもなく人を騙すことを僕はできなくなった。嫌なことは嫌であるとおもわずにはいられなくなった。つまらないものはつまらないと思わずにはいかないのだ。おもねって引きつった笑顔をする方が、社会に受け入れられるのであることは言わずともわかっているのだ。そこまで社会を私は愛せないのだ。社会で得た喜びは、誰かが得るはずの喜びでしかなく、私でなくても喜べるものなのだから、私に必要なものではないのだ。この社会のなかで生きるために、私は社会の掟を心のなかに再現しなくてはならない、そして、それを嘘だとわかりつつ真に受けてときにははぐらかしてみなくちゃならない。そんな面倒くさいことをなぜ私がしなくちゃならないのかと考えることに、何の意味もない。しろと誰も言わないから。僕はやっぱり一人になって、途方にくれる。