狂人

 狂人に終わりの道はなし。目は見開き虚ろに歩行者に目をやる。いつの日か山に登って全裸になった。通りすがった女を連れ込んで犯してやったのさ。喜んでいたけれどな。挿入するときの濡れ具合でもピストンで擦れる快感でもない、砂の上の裸体に指を突っ込みヌルヌルした液体でもない、青空があった。一筋の白い線が青色に割れ目を入れる。落ちていた石ころを握りしめ彼女の口の中にぐいっと詰め込み、遠くを見つめて社会を思う。叫び声が鼓膜を通り過ぎていく。狂人として、人間は生きるに値するか。鉄の塊が線路を走り空を浮かぶ。なぜ女は柔らかい。こんなにも。所有したい。アクセサリーになれ。女がシンプルを目指せば男はマスコットへの道を閉ざされる。欲望の絡み合う蒙昧から目覚め、白けた網膜が取り込む光は廃墟の街に欲望を掻き立てるアイコンを渇望させる。人の目がきになるのなら生きている価値はない。奴隷として生きるのなら、他人の目を気にせよ。その代わりに他人のルールのもと無残にも君は殺され生かされ無益な労働を強いられる。他人のルールに、価値があるのかないのか。利用して搾取し自らの栄養分としなければ、他人のルールのもと生きることは不可能。私にはその素養が抜け落ち栄養失調を起こした我が心はアーモンドをもとめスーパーへ行く。自らを教育するのが真の教育者だ。それがわからないとは一体なんぞや。教師の息子に生まれれば教師の素質があるとでも言いたいのだろうか、父母が教育者と語りだす採用希望者よ。自由競争は死語となり、テレビの吹聴しまくし立て人々を駆り立てた動機の首班として視聴者に憎まれる。テレビはクソだ。テレビをみて共感する相手を見出したと老人は喜び、ネットで共感する相手を見つけるのに躍起になる若者。共感など糞食らえ。他人の価値観に全く同調しない。価値などわかってたまるか。それは行き方の矯正に通じる。一体全体おかしいのは、自らの価値を貶める出来事に対して、それを拒否しないのが美徳とされる近代の秩序と呼ばれる倫理感覚にあるのだろう。およそ倫理を知らないものが常識だと、世間に認められた価値観をわれが代表すると責任は決して取りもしないのに、テレビの前で吹聴して見せて、夢を語り、感謝を忘れ、ものを買い占め、死ぬ覚悟もなく、むやみやたらに怯え、人を寄せ付けない。これほどまでに現代のこの国の人間は、人間を嫌い抜いている。近頃テロがこの国で起こらないのをいいことに、平気で嘘をつき死ぬことよりも崇高な志を持てないでいる。生きていれば得である。ホームレスを見よ。私なら死ぬ。彼らは打ちのめされ起きる気力もない。気力のないところに何もない。何もない。虚無は何かを私に引き寄せる。私は何も生み出しはしない。太陽の光のように、あるところにエネルギーが集まり流れとなって人生の川となり同情する船に乗って川岸の世間へ目をやると、河川に並ぶ人たち、死者の弔いとばかりに手を合わせこちらを見る。日は沈みかける。まだ海に出そうもなく、くねくねと川は流れる。テレビを破壊せよ。鉄塔をよじ登り電線を切れ。何もかもがあらわになった時代に、そう錯覚している時代に、隠されたものを目に見えぬものを感じようとする気力と感受性。幽霊を怖がり畏怖する心、心を我が物であろうか。私の心というが、心は私の中にない。私は心なんてもっていなかったのだ。ただ、まわりのものが私に心のようなものを送っていただけの話だ。私は親からの連絡もない。親はそれを子にとってのびのび育つ自由な環境と捉える。心のない子供が育つ。否、ないわけではない。親以外のものに心を奪われ価値が混乱し秩序は悪にしか見えぬ。感覚ほど個人を彩り魅力のあるセックスシンボルにするフェロモンもない。巷のモテる努力の記事も、まとめれば清潔な身なりをすれば女が寄ってこられるステージに立てる程度の、いわば、門を入ったにすぎない。門の中には女がうようよしている。外へ連れ出しいきなり犯すのもよし。周囲を気にせずに抱擁し持参した婚姻届を提出し、寄ったところに女の指にインクをつけ捺印させ役所に突っ走り、それから音信不通のように心が通わなくなりセックスをもしなくなり互いにセックスだけの相手を捕まえるのもよし。「いろいろ」とは、一体なんぞや。言葉にすることはばかれる事態に、「いろいろ」と我々は言葉を濁す。自由はすでに日本において実現されていた。セックスは不特定多数とやるに限る。われとセックスするものあるか。われはすべての男を乗り越える気持ちで生きるべし。価値を貶め奴隷にする。それが互いを縛る拘束具となり離れられなくなる。受け身の場合、主体となるに疲れた休憩所にてマッサージ師の計らいを全て受け入れなまくらの心を助長されてのこと。互いに苦しめ愛、憎しみ愛、愛違えるもの同士が愛し愛。行くつく先は、何処へやら。どこへ行ってもそこが身の置き所。目標の暴力に、嫌気がさして、野暮の餓鬼ども目がキラキラと、人の評判黙っておれず、良い子良い子の子供たち、よゐこすることもできず。大人は消え、子供は赤ん坊になり。クソは垂れ流され、それを私は金と呼んで一銭も口にしない。